求められるのは正攻法か、裏道か 朝の通勤電車で思うこと
最近、電車で本を読む人が増えてきた感じがする。
これには2つの要因があって、
ひとつは、スマホで得られる情報(ニュース)なり楽しみ(ゲーム)の質が落ちてきて、ユーザー側も飽きてきたこと。
もうひとつは、家庭経済的な意味で、「このままじゃヤバイ」という危機感が強まってきたこと、であろう。
それはそれとして、ぼくは人が何をやっているのか、何を読んでいるのかウォッチすることが好きである。人のことをチラチラッと覗き見ているので(もちろんバレないように)、ちょっと気持ち悪い人に見えるかもしれない。
今日の朝、電車の中で30歳前半くらいの男性ノーマルサラリーマン(可もなく不可もない仕事をしそうなサラリーマンのこと)が本を読んでいた。
そうか。
こんな若い人にも「危機感」がちゃんとあって、自分の力を付けないとマズイ、と思っているんだな。
自分で勉強する、というのは結構重たい危機感が必要なので、そこまで社会は転がり落ちていることを意味する。
あとは、どんな本を読んでいるのかが気になる。
が、そこはありがたいことに、彼はときどき本を閉じ、本のタイトルがぼくに見えるようにしてくれる。
誰にも悟られないよう、目線だけをシュッと移動してタイトルを見る。
・働き方 完全無双
すぐさまamazonで検索。ああ、ひろゆきの本じゃないか。彼は2ちゃんねるの元管理人であり、論破の人としてテレビでもちょくちょく見かける。
本の説明文を読む。
・沈みゆく日本で、あなただけが無双状態で働くには、どうすればいいのか。
・働くときに考えるべきなのは、個人の「攻め方」と「守り方」の2つだ。
・「攻め方」というのは、能力を上げることではなく、「相対的に自分を有利にする方法」である。
・「守り方」というのは、企業の論理に絡めとられることなく、「最悪、クビになっても大丈夫な状態」にしておくことだ。
(https://www.amazon.co.jp/dp/4479796444より)
なるほど。
正攻法ではなくて、裏道、つまりいかにラクに人に勝つ方法を解説している本のようだ。
ちょっとこずるいが、賢いっちゃあ賢い。
それを30代ノーマルサラリーマンが読んでいたのだな。
ノーマルサラリーマンは、正攻法じゃなくて、裏道を求めていたようだ。
「なんかヤバイな」とは思っているけど、「うわ、ヤバイ」とまでは思っていない、ということ。
ぼくは、急がば回れ(=正攻法の方が結果的に得をする)だと思うんだけど、
まだそこまで期は熟していないようだ。
だって、30代だとあと4,50年は働くわけだし、裏道だけではなんともならんのじゃないか。
しかし、確かにそれくらいの社会情勢だよなあ、と腑に落ちた今日の朝であった。