かつ消えかつ結ブログ

日々、ポッと浮かんだ考え事を書く遊び場。哲学風味。

モウセンゴケ属の輸入 失敗談

モウセンゴケの輸入に失敗した。
いろいろ調べて、忘れてしまうのがもったいないので、記録として残しておく。

 

●輸入開始

チェコBCPhttp://www.bestcarnivorousplants.net/)にて、食虫植物の種子を注文&植物検疫証明書を付けてで輸入。
そのうち2点、Drosera属(モウセンゴケ属)が含まれていた。


●問題の発生

荷物を追跡したところ、国際交換局へ到着し、川崎東郵便局にて「通関手続中」のステータスになっていることはわかった。

しかし、「通関手続中」の表示が4回も繰り返され、果ては「税関から名宛人に照会中」と表示されてしまった。

この表示になると、はがきが送られてきて何らかの対応(荷物の確認、破棄など)を迫られるらしい。

はがきを待ってもいいが、今回は税関に電話で問い合わせてみた。


●問題の原因① モウセンゴケ属の存在

問い合わせで分かったのは、Drosera属(モウセンゴケ属)が含まれていて、それで止まっている、ということ。

というのも、モウセンゴケ属の輸入は平成28年10月から規制が入っているからだ。

具体的には特定外来生物として「ナガエモウセンゴケ(Drosera intermedia)」が指定され、この種については原則輸入禁止(学術用途などならおそらくOK)になった。

※これは、ナガエモウセンゴケが意図的に自然放出され、繁殖していることに対する、「見せしめ」的な措置の模様(指定の際の議事録に詳しい→https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/data/sentei/plant07/gijiroku.pdf)。

そしてこれに伴い、モウセンゴケ属全体も「種類名証明書の添付が必要な生物」として、通関が厳しくなった。

で、今回輸入しようとしたものは特定外来生物には該当しないものの、「種類名証明書の添付が必要な生物」として引っかかってしまったのである。

(実は、輸入手続き後に気づいたのだが、止めるのも面倒だし、まあ何とかなるだろうと高をくくっていた)

 

●問題の原因② 税関の管轄

モウセンゴケ属が引っかかったのはそれはそれとして、致命的だったのが税関の管轄の問題であった。

荷物は川崎東郵便局にあり、そこの税関で止まったわけだが、「特定外来生物にしていされているもの」や、今回引っかかった「種類名証明書の添付が必要な生物」の通関作業については、成田国際空港やその他主要空港の税関でなければ不可、ということだった。

参考1(Q7):https://www.env.go.jp/nature/intro/1law/qa.html
参考2:https://www.env.go.jp/nature/intro/1law/shiyou/yunyu.html#sec3

ならば、話は簡単だ。

「川崎東郵便局から成田空港へ移動して、そこで通関してもらえばいいじゃないか!」

そう、普通は考えるだろう。

でも、そんな簡単な話では残念ながらなかったのである。

税関を通っていない荷物は「外国貨物」という扱いになるらしい。
要するに、日本の中にありながら、まだ荷物は外国にある(=通関されていない)状態だ。

この状態だと税関の管理下にあって、勝手に動かすことはできない。
外国貨物を動かすには、保税輸送といって、税関に申請を出したうえで、(許可を受けた)専門業者のトラックなど運ぶ必要があり、処理が煩雑なことから一般的には通関業者に依頼するもののようだ。

しかし、個人が通関業者に依頼するのはハードルが高いらしく、費用も、まあ調べた限りでは1万、2万~はするとのことで…。

参考3:https://hunade.com/hozei-unsou

…といういろいろとややこしい仕組みがあって、「川崎東郵便局から成田空港へ移動する」ことは手間とお金を考えると現実的ではない、ということがわかった。

 

●結果

そうして今回、ぼくが取った選択肢は、税関で引っかかったDrosera属の2点を廃棄してもらい、残りを送ってもらうというものだった。

めでたしめでたし、とはいかなかった。

その点を税関に電話すると「こちら(税関)で勝手に捨てることはできないので、委任廃棄書(?)に署名捺印してもらう必要があります。書類は郵送します。」と。

その仕組みは正しいと思うけれど、ちょっと面倒ではある。
まあ、ぼくが悪いので仕方がない。


●振り返り

今回は、Drosera属が引っかかったわけだが、植物検疫証明書が付いているので、それが種類名証明書の代わりとなり、書類上は税関を通過してもおかしくない。

が、川崎東郵便局に行ってしまったのがマズかった。

そこに行ってしまったので成田空港へ送るのも難しくなってしまい、八方ふさがりとなってしまった。

一発目に成田空港に行っていれば、きっと問題なく通関できたのではないかと思う。

「国際郵便」だとダメ(=川崎東郵便局に行ってしまう)ということは、「https://www.env.go.jp/nature/intro/1law/shiyou/yunyu.html#sec3」にも書いてあった。

> ※ 種類名証明書の添付が必要な生物を郵便で輸入することはできません。

なので、ここからは調査不足ではあるが、「国際宅急便」で送ればよかったのかなあ、と思う次第である。