かつ消えかつ結ブログ

日々、ポッと浮かんだ考え事を書く遊び場。哲学風味。

下り坂の社会で起きる、足場がぐらつく不安

日本の社会は下り坂だ。そのこと自体は、もう当たり前のことだと受け取られている。そんな中、私たちが感じる不安とは何なのか。それを考えてみたい。

 

不安の原因=先行き不透明+足場のぐらつき

不安の原因の一つは、日本がこれからどうなっていくのか、その先行きが「わからない」からだろう。先行きが不透明だから不安。これはよく言われることだ。

人間は「わからない」ものと出会ったときに、ものすごい恐怖や不安を感じたり、反対に楽しみを見出したりする。例えば幽霊のような「わからないもの」は、やっぱり怖い。TBSのモニタリングで幽霊ドッキリをやっているが、傍から見ると怖いなんて思えないけれど、当事者の怖がりようたるや凄まじいものがある。

 

そしてももう一つ。不安の原因として考えられるのが「足場のぐらつき」だ。

これも「わからないもの」に起因する不安だが、どういうことかと言うと、たぶん、明治維新の例が一番わかりやすい。

明治維新が起こった時、何が起きたかというと社会のトップがすげ変わった。徳川幕府から薩長を中心とする新政府へと変わり、西洋的な合理主義が取り入れられた。さらに、トップが変われば民衆も変わる。徳川幕府を中心とした産業構造が変わり、そこで働いていた人たちは働き方を変えなくてはいけなくなった。

その状況を想像すれば、「足場のぐらつき」による不安が見て取れる。

足場とはつまり、制度のことだ。

徳川幕府が健在であれば、制度はしっかりしているので、民衆はその上で仕事をしていればよかった。制度はごく当たり前の「当然あるべきもの」として受け入れられ、みんな、その上で仕事をする。でも本当は当然あるべきものでもなんでもなく、幕府によって設計されたもので、それはトップが変われれば一挙に変わってしまうものなのだ。

でも、うまくいっているときには、制度のことなんか誰も気にしない。

それが少しずつあらわになるのは社会が下り坂になったときなのだ。

まさに、今の日本のように。